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3年前
夜野礼司は赤坂のTV局の人気番組
ニュースナイトイレブンのディレクターだった。
「夜野さんスクープです」
付き合いのある週刊誌記者柴田から連絡があった。
新橋駅前のスナックで柴田は資料を出した。
「これって、秋山元総理の?」
「はい、内部告発です」
元総理大臣秋山の政治資金の不正を内部告発だった。
礼司はそのスクープを週刊誌記者と共に行い、
秋山の関連建設会社、セメント会社を
突き止め報道局長に許可を得ると
これ以上の取材を止められた。
「だめだ、元首相の不正なんて無理に決まっている。
警察か検察が動くまで待て!」
確かにテレビ局のスクープは成功した事がない、
何故なら映像が無いからだ。
礼司はそれを諦めずその後も秋山が
料亭から出てくるところを張っていた。
しかし、その行動は局にばれ礼司はワイドショー、バラエティの
ディレクターに格下げられ
友人の週刊誌記者柴田は連絡が取れなくなっていた。
礼司は正月番組の収録で徹夜が続いた。
「あなた、着替え持ってきたわ」
「ありがとう」
局の前で礼司は由美から荷物を受け取った。
「魔美は?」
「局のグッズの買い物をしている」
「そうか、今から食事か?」
「ええ、焼き肉が食べたいというので一ツ木通りへ行くわ」
「気を行けて帰れよ」
「はい」
礼司は魔美にとても会いたい気がしていた。
それから23時過ぎに警察から礼司の元に連絡があったが
本番中で連絡を確認したのは午前3時過ぎだった。
由美と魔美の遺体はすでに霊安室に運ばれていた。
礼司は警察で聴取されすべてが終わったのは朝7時
ひき逃げなので、司法解剖をする事になった。
礼司は家族が突然二人いなくなった事を認められず
放心状態になっていた。
葬式が終わって1か月後、ひき逃げ犯は見つからなかった。
東京のど真ん中赤坂でのひき逃げが見つからなかった事に
礼司は不信感を感じ妻と魔美をひき逃げした犯人を捜したが
警察の情報では目撃者は黒い高級車としからなかった。
23時頃、赤坂近辺を走る黒い高級車は、
料亭や高級クラブ、ホテルのレストランに来た
客がたくさん使っている。
選定は難しい。
礼司は仕事の合間をみて調査をしたが
部下の取材事故、取材費の横領の責任を取らされ
礼司は次第に窮地に追い込まれテレビ局を辞めた。
礼司は妻と娘をひき逃げした車を見つけるため
そして取材途中だった秋山の動向を調べるために
タクシーの運転手を始めた。
タクシーはどこに止めても、どこを走っても、目的の車に付いて行っても
怪しまれない。タクシーは礼司の調査のメリットがあった。
礼司は乗車の度23時に由美と魔美が轢かれた
場所で黒い高級車を見つけるとナンバーを控えたり、
後をつけ到着地まで付いて行ったり
ひき逃げの犯人を捜していた。
また秋山のスケジュールを調べ料亭の前にタクシーを付けたり、
会合があるホテルに付けたり、
秋山の関係していた官庁の前にタクシーを止めタクシーに乗る職員を
乗せて情報収集していった。
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