1章 眼鬼

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「ホームレスになって生きていくしかないな。 段ボールの家に住んでアルミ缶を拾うしかない」 礼司は冷たく言い放った。 「お願いです、助けてください」 3人は土下座をした。 「ねえ、夜野さん私たちどうやってこっちの世界に来たのかしら」 「わからん、魔美の声が聞こえたから俺はここへ来ただけだ」 「夜野さんに私たちをこっちの世界に呼ぶ力が付いたのかしら」 「そう言えば運転していたあの男が来る途中鬼を見たそうだ」 「見えるほどゆっくりかあ。鬼の世界を通って来たんだね」 魔美がありえない出来事に首を傾げた。 「金と言えば魔美はどうして俺の世界の金を持っているんだ?」 「それが私時々こっちのファミレスでアルバイトしていたんだ。 今日もアルバイトの帰り」 魔美がしばらく無言でいたが仕方なしの答えた。 「まさか・・・」 礼司は魔美のアルバイトの理由がすぐにわかった。 「魔美、もうアルバイトしなくていいぞ。お前のお陰で  十分稼いでいる」 「うん」 「ところで三人さん、仕事は何をしているのかな?」 礼司は三人に向かって聞いた。 「俺は柿本仁大学生です」 魔美の足を持っていた男が答えた。 「俺は栗原博建築業です」 車の持ち主の運転していた男が答えた。 「俺は梨田健電気工事やっています」 魔美の手を掴んでいた男が最後に答えた。 「なぜ、魔美を襲った!」 「一人で暗がり歩いていたしお堅くて有名なミッションスクールで  まじめそうだから・・・」 「首謀者は?」 礼司は魔美の手を掴んでいた梨田の奥襟をつかんだ。 「すみません」 梨田はうなだれた。 「みんな家庭は?」 「俺だけ結婚しています」 運転していた栗原が答えた。 「ひょっとしたら鬼と目が合わなかったか?」 「あっ、合いました。ジロッと見られました」 「魔美、そういう事だ!」 「気の毒にあなた殺されるわよ!」 「だ、誰に?」 「あなたと目が合った鬼に・・・殺されると言うより食われちゃう。 生きたままボリボリとね。信じる信じないは勝手だけど」 「ええ!」 鬼と目が合った栗原は魔美の言葉にガタガタと震えだした。 「助けてください。お願いします」 栗原さん手を付いて頭を下げた。 「栗原さん、鬼ってどんな感じ?」 「やたら大きい赤い目がギロッと見ていました」 栗原が大きく手を広げた。 「眼鬼か・・・」 「魔美、眼鬼ってどんなんだ?」 「にらんだ者を動けなくして手足を引き裂いて最後に頭を食う」 「あはは、結構残酷だな、栗、梨、柿だから食べやすい」 礼司は笑いながら栗原を見た。 「その鬼がこっちに現れるか向こうに現れるかどっちだ?」 「わからない、でも私帰らなくちゃ。ママが心配する」 魔美は冷たい返事をした。 「魔美、つれない返事だな?いつもは鬼退治に夢中なのに」 「眼鬼は私に関係ないの」 「関係ある鬼と関係ない鬼が居るんだ」 「そうよ。じゃあ帰るね」 「オイオイ、こいつらを見捨てるのか?」 「だって私を襲った男なんて・・・鬼に食われて死ねばいい!」 「わかった、皆さんに提案だ。私が君たちの世界に送り届けよう」 「本当ですか?」 「その代わりこの車は届けられないから預かっておく」 「えっ??」
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