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「さてと…出掛けるかな」
今夜は夜勤勤務がある日だ。
アラスカ国立天文台
通称『ビックベア』と呼ばれている
天体観測施設が亮太の勤務先だ。
東京大学 天文学科を卒業後にアメリカの
マサチューセッツ工科大学院に留学して
博士号を取得した後
30歳から働き始めたのがこの施設だ。
ビックベア…直訳すると"大きなクマ"だが
ニューヨークが"ビックアップル"と
呼ばれている理由が明確に分からない様に
誰がいつビックベアと名付けたか
誰も知らない。
防寒対策にダウンを着て手袋をすると
亮太は部屋を出てビックベアへ向かった。
勤務先であるビックベアは歩いて
20分程の場所にある。
アラスカの山奥にある研究所から
1番近い町まで100km程あるため
亮太を含め研究員全員は
平日研究所が管理する
宿舎に寝泊まりして
週末になるとホームタウンへ帰る
生活をしている。
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