第1章:夜空に想いをはせて…

5/7
前へ
/25ページ
次へ
季節は秋の始め10月とはいえ アラスカのこの時期は日本の 真冬の様な気候だ。 夜間の気温は+3℃~5℃ 吐息(といき)が白くなる。 紅葉のシーズンは9月で 終わりを迎えたが アラスカ山脈の最高峰である デナリ山の山頂付近には 雪が積もり、雄大(ゆうだい)な 大自然を愉しむ事が出来る。 しかし夜中は街灯も無く 辺りの風景を観る事は出来ない。 その代わりに亮太の頭上には 360度の星空が満天に広がる。 ペルセウス、カシオペア アンドロメダ、ペガサス… 宿舎のベランダからは見えなかった 秋の夜空を彩る数々の星座が 光り輝いている。 「ペガサス座…子供の時に 1番好きだった星座だ」 勇者ペルセウスが怪物メデューサを退治して 首を討ち取った時に 飛び散った鮮血の中から生まれた天馬。 物心ついた時から星空を観る事が 好きだった亮太。 星座に(まつ)わる壮大(そうだい)なギリシャ神話は 誰がどのようにして(つく)ったのか… 遠い昔から知っていて 不思議と初めて聞いた話ではない様な 気がする… 幼心(おさなこころ)にそう思っていた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加