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勿論、私も七詞の頭にもLECは埋められている。
でも私たちはこのミラーボール共和国の出身者でない。だから、この国の法律を守る必要はなかった。
「だけど、この国の法律…ふざけてる」
それが私がこの国のことを知ってからずっと抱いていた感想だった。
法律とは本来、国民の生活や、彼等自身を守るためのもののはず。
でもこの国の2つしかない法律では、この国の国民を守れるはずがなかった。
いや、そもそも守るなんてこと、一切考えられてない。毎晩毎晩バカ騒ぎし続けることを強要するだけ。
そしてそれに従わなければ即処刑。あまりに理不尽で、ふざけていて、狂っていた。
「まぁ、それがこの国の常識さ。この国の国民たちはそんな常識を当たり前だと思って生活している。それは何も悪いことじゃない」
「悪いことじゃないって!?こんなのどう考えたって間違ってます!!」
そして私はようやく気が付いた、私がこの国に来てから感じ続けていた、胸の奥でグチャグチャと掻き混ざり原型の無くなったこの吐き気の正体に。
私はこの国に対して、そしてこの男に対してもずっと怒りを感じていた。
この狂った国の常識に、そしてそれを問題視するどころか、受け入れてしまっているこの男にも。
「間違ってるねぇ、あひるちゃんは直ぐに熱くなる」
「七詞さんは…七詞さんはどうとも思わないんですか!?」
唇を噛み締める。
答えを聞かなくてもなんとなく分かった。
この男は恐らくどうとも思っていない。
「ほらこれ」
七詞は私の質問には答えず、そう言って何かを差し出してきた。
「なんですか?」
「ん、飴ちゃん」
「ふざけてるんですか?」
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