遠く彼方へ

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 僕は彼女の走る姿が好きだ。  細長い足が遠くへ、遠くへ、彼方へと駆けて行く。 「ねえ進! 私また優勝したよ!」  彼女は満面の笑みでそう言うと、表彰状を鼻先に当たりそうなほど近づけた。  目の前が表彰状でいっぱいになり、辛うじて宇野光殿の文字だけが見える。 「光、嬉しいのは分かったからもう少し離して」  僕の幼なじみの宇野光は陸上の全国大会で新記録を出したほどの実力者だ。  昔からまったく運動が出来なく、一人で遊んでた僕に光は声をかけてくれた、そこから今まで続く腐れ縁だ。  そして僕はあの日から光が好きだ。
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