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暁の肌を撫でる。さらさらとした白い砂丘がそこにある。次第に火照り、汗がにじみだし、手のひらにしっとりと吸い付いてくる。
愛撫しながら、辰治は猛る。
衝動的に首筋を吸う。耳元の薄い喘ぎ。歯を立てたくなるのを我慢する。
暁はじっと目を閉じている。目を閉じて、感じている。熱い吐息が、辰治の刺青の肌を曇らせる。
――あなたは、少しあの人に似ている
いつか聞いた言葉。そのまぶたの裏に、誰を思い浮かべているのかを想像する。想像して、辰治はさらに猛る。猛ったものを、暁の火照った身体にねじこむ。
二人は繋がる。薄暗いバラック長屋の床を軋ませて、ひとつになる。
暁が目を開ける。長いまつげを震わせて、辰治を見る。その瞳に映る自分の姿に、辰治は安堵する。安堵して、いっそう激しくその身体を求める。
――呼んでくれ
抱き締めた背がしなる。弱いところを何度もえぐり続ける。堪えきれなくなって暁が叫ぶ。懇願するように辰治も声を絞り出す。
――オレの名を呼んでくれ
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