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「どこ行くんだよ」
タケルは訝しそうに助手席から声をかけた。
だが、ハンドルを握る高支那から返答はない。完全に無視だ。
その態度にタケルは苦々しく舌打ちをする。
12月31日ーー大晦日、二人は市街地から2時間以上走った奥深い山の中を迷走していた。
いや、迷走なのか、それとも高支那の思惑なのかーー
そもそも、担任副担任を務める二人がなぜこんな山奥にやって来たのか、その理由さえいまいち定かではないのだ。
まだ23歳の新米教師のタケルにとって、14歳も年上の高支那は先輩であり、口答えなど到底あり得ない。
しかしタケルは臆することなく声を荒げる。
「高支那!!」
しばらくして、当人から返ってきた言葉はなんとも冷たいものだった。
「黙ってろ」
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