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次にもう一人印刷された人物を指差し 「此方もこの中の一人の晩年の姿です」 興味津々といった体で先程の二人が見る。 「一君じゃないですか?」 「確かに斎藤君の面影がありますね。しかし、此らが本当にそうかと言われると何とも言えませんね」 黙って聞いていた斎藤だが、至極不快そうに眉を寄せている。 そんな中、斎藤の名前を聞いた市波が嬉しそうに声をあげた。 「斎藤一? マジか! 俺の憧れの剣豪じゃん!」 両手を縛られ腰縄までつけられた姿で、感極まった様子で斎藤を振り返る様子に、萠は溜息しか出なかった。 「えー、一君は後世で有名なんですか? 近藤さんはどうなんです?」 唯一市波の言葉に総司が反応を示す。 「沖田総司さんですよね?」 「はい」 「斎藤さんだけじゃなく、近藤勇局長も土方歳三副局長も、勿論沖田さんも有名ですよ」 「それじゃ、山南さんと源さんは?」 正面の男と井上を見ながら総司が問う。 「ええ、山南敬介副局長と井上源三郎さんもです」 総司は満面の笑みを浮かべ頷いた。 「おい、話の腰を折るんじゃねぇ。その袋の中は見せてもらったが、それが先の時代の物か、異国の物かは俺たちではわからねぇ。他に何かねぇのか」 土方が威圧的に声を発すると背中から振動が伝わり、体が悲鳴をあげる。 その痛みに耐えながら萠は思考を巡らす。 持っている物が駄目なら、後は自身の頭の中にある史実しか無かった。萠はクリアファイルの中の一枚に目を通して言った。 「芹沢鴨の葬儀は終わってますよね」
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