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叱られた子供のように眉尻を下げた市波だったが、土方に向かい素直に頭を下げた。
「すいません」
「ああ」
土方もばつが悪そうに返す。なんとも言えない微妙な雰囲気を打ち消すように萠が話し出す。
「ねえ、本当に入隊試験を受けるの?」
「それしかねぇんだもん。牢に一生入ってるなんて無理。」
諦めた顔で言う市波が小さく見えた。
「あのさ、ずっと前にドクターがタイムスリップするドラマがあったでしょう?」
「あー、あった」
そのドラマは、江戸へタイムスリップした医者がペニシリンを作り、江戸の人達を救っていた。
「なぁ、萠は何を考えてる?」
「ふふ、作ろうよ。ペニシリン」
「はぁ?」
間の抜けた市波の声が響く。それを全く意に介さない萠。
「だから作るの。いや作りなさい!」
「ちょっと待て、例え作れたとしてもそれを使いこなせるドクターがいないだろう? それに此処じゃ点滴の機材もねぇし」
「市波さんは用法わからないの?」
「わからなくもないけど、注射なんて出来ねぇぞ」
「それは大丈夫。私が練習台になる。高校の時、衛生看護科の友達がね、お互いが練習台になってしてるの見たよ。だから出来るって」
「じゃ、機材はどうするんだよ」
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