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野次馬に声を張り上げ、奏でが目撃者を探す。
すると隣で男を応急処置していたサラリーマンが言った。
「私、見てました。刺したのは二十代後半の小柄な、紺色のワンピースの女性でした」
ストレッチャーが運ばれて来て、被害者を乗せ病院へと搬送していく。
「すまないが話を聞かせてくれ」
「藤内(トウナイ)さん、捜一が来ましたよ」
男の話を聞こうとした矢先、捜査一課が早々に現れ、現場保全の為に動き出す。
「よう、ナイさん。目撃者は?」
「やけに早い登場じゃねぇか。新さん。こちらが見てたようだ。後、あそこの旅行社で被害者は働いていたようだ。同僚から話が聞けるように待ってもらってる。もう電車に乗って逃げてるだろうが、京都駅方面流してみる」
「頼んだ」
新さんと呼んだ男に男を任せ、藤内はパトロールに戻る。
被害者の血がついた手のひらがピリピリと痺れていた。
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