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血の気がなく今はくすんで見えている肌も、通常ならば眩しい程の白さである事は想像出来た。
腰回りは女子特有の柔らかな曲線を描き、両手で掴めるのではないかと思うほど細い。
しかしながら乳房だけはずっしりとした重量感があった。
それを思い描き、土方の口角が僅かに緩む。
「血は止まってるようですが、一応焼酎だけはかけておきましょうか?」
斎藤の声に男に目をやる。
肩周辺が血に濡れ、深い藍の布をどす黒く見せていた。そして、袖口辺りと両手も血に濡れていたが、どうやら男の血ではないようだった。
「ああ」
女を助けようとしたのか?
「トシさん、この者達の荷物のようなのだが…」
斎藤の後ろにいた、年嵩の男が口を開く。
トサリと音を立てて土方の前に置かれた物を見て、土方は訝しげに顔を歪めた。
鉄のような箱に車輪が着いている物が一つ。真っ黒な箱形の袋が一つ。紙で出来た袋に白っぽい布袋。
土方は取り敢えず紙の袋に手を伸ばした。
中には透明な何かに包まれた同じ箱が三つ。辛うじて読める文字とメリケン語と思われる文字が書かれてあった。
次に白っぽい布の袋を確かめる。
無造作に開いた袋の中を覗けば、訳の分からない物が沢山入れられていた。
それを一つ一つ取り出して並べてみるも、何に使う物やら皆目分からない。
そして透明な板に挟まれた紙が数枚。どれも異国の文字が並んでいる。
そんな紙の中に、見たことのあるような男のホトガラが描かれた物があった。
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