双子協奏曲

22/164

58人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
「素早い」  これは次の研究に関わる内容だ。スーパーコンピュータを用いて他の大学とある宇宙モデルについて調べることになっている。その打ち合わせに行っていたのだ。議事録は今後どう進めていくか。それについて書かれている。共同研究となるからしっかりスケジュールが組まれていた。 「ふうん。来週までに今のモデルを詰めておく必要があるのか。となると、今週はこれに掛かりきりだな」  他の研究も進めているため、このモデルにばかり時間を割いていられないのだが、優先順位を上にすべきだろう。龍翔は一般相対性理論を用いて今の宇宙がどうやって成り立ったかを解明しようとしている。もちろん、ここ最近では一般相対性理論だけでなく量子力学を加味して考えなければならない。しかしそれでも大部分はかのアインシュタインが作り出した一般相対性理論に依拠していた。 「でもな。インフレーション理論も進めないと、あっちもかなり盛り上がっている。これは笹川君に頑張ってもらうしかないかな」  今でもこき使ってないかと心配だがと、龍翔は初めて自分の研究予算で雇ったポスドクの笹川颯太のことが気になる。ポスドクとはポストドクターの略で、博士課程を終えたばかりの人を研究員として雇う制度のことだ。博士研究員ともいう。任期は大体が三年。颯太も三年の期間、龍翔の指導の下で研究を進めることとなっていた。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加