はじまり

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はじまり

『退屈だ』 思わず口をついて出る。 何となく大学に入り、何となく就職して、何となく暮らしていくのだろう。 そんなカレンダーを塗り潰していくような日々の真っ只中、何となく入った大学の何となく入ったサークルの部室で一人呟く。 ゲーム研究会。 主にボードゲームなどをするサークルだが、特別ゲームが好きだったわけでもない。 さして広くもない部室には長テーブルが2つ、その両側に配置された棚には、ボードゲームやカードゲームが所狭しと積まれている。 『退屈だ』 半分以上はルールもわからない積まれたゲームを眺めながら、もう一度呟いてみる しばらくすればちらほらと部員が集まり、たわいもない話やゲームなど始まる。 何となく午後の授業をサボり、昼下がりに一人で部室にいるのだから退屈なのは当たり前なのだがーー 『あ、圭介見っけ』 不意にドアが開き、開口一番そう言って、古田 美也子が対面に座る。 どうやら僕を探してたらしい当サークルの部長でもある黒髪の女の子を目にして退屈が面倒に変わる予感を感じていた。
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