プロローグ

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プロローグ

高校2年の春、その日は突然やってきた。 母さんが死んでから10年、父親の顔をろくに見たことはなかった。海外商社マンの父親は1年365日、忙しく一般にいうクリスマスやお正月休みなんてものは俺の家にはなかった。いつも1人で過ごしてきた。そんなある日のことだった。 普段顔も合わせもしない父親から折り入って話したいことがあると連絡が来た。どうせまたどこかに転勤になったとかいう話だろうと何となく想像できた。 呼び出されたレストランに向かうと、父親の隣にはキャリアウーマンって感じの女の人が隣に立っていた。 「初めまして、四条将生(しじょうまさき)くん。前宮茜(まえみやあかね)です。」 「初めまして…父の同僚の方ですか?」 「ふふ…まあ、とりあえず中に入ってからお話しましょう。」 そう茜は言うと俺と父親をレストランへ誘導した。 ああ…やっぱりな。次は何処だか。 席に座ると父親が少し緊張した様な様子で、話し出した。 「将生…こちら前宮茜さん。父さんの同僚で、先日こちらの茜さんと結婚したんだ。」 「…はい?」 「だから、再婚したんだ。」 想像もしてなかった言葉に思わず、コーヒーを飲む手が止まる。 「将生くん、驚かせてごめんなさい。私達再婚したの。突然で驚いたと思うんだけど、それでね…来週から一緒に暮らそうと思っていたんだけど…」 「…そう、ですか…」 「海外に転勤になったんだ。将生も一緒に来てもいいと思って入るんだけど、高校変わるのは嫌だよな…」 「ああ…海外転勤なら俺は行かないって言ったと思うんだけど?」 こう答えると2人の顔が一瞬で明るくなったのがわかった。 「そっか…じゃあ、2人で住めるな!!」 「2人って?どう言うこと?」 「四条くん?」 頭の後ろから聞いたことがる様な声がして、とっさに振り返る。 そこには同じ制服をきた同級生、前宮音羽(まえみやおとは)がいた。 「前宮って…まじ?」 高校2年の春、桜が舞う頃の話。こうして同級生、前宮音羽は俺の義理の妹となった。
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