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プロローグ
ゴーン・・・ゴーン・・・
神殿の鐘が打ち鳴らされていた。
ゴーン・・・ゴーン・・・
神殿の回りには、王の回復を願う多くの市民が集まり、神に祈りを捧げている。
王が病に臥せて数ヶ月。
医師団も司祭たちも手を尽くしたが、いよいよ王の命は尽きようとしていた。
「エイガン、後を頼んだぞ・・・王大使はまだ若い・・どうか、助けてやってくれ」
王は、宰相を枕元に呼んで、こう告げた。
「お任せ下さい、陛下・・・」
「ブリアトーレ・・・」次に王の弟であるブリアトーレ大公が、王の枕元による。
「兄上・・・」
「王大使の後見人として・・・エイガンとともにもり立ててやってくれ・・・」
「はは。かしこまりました」
「司祭長は、おらぬのか・・・」
「司祭長は、神殿で祈りを捧げておられます」
「そうか・・・王太子・・・」
「は、父上」
「余の亡き後は、宰相、大公、司祭長の三人を父と思うて何事も相談するがよい。そして・・・そちはエストリア王ブライトン三世と名乗るがよい・・・」
「父上・・・」
「ブリトニー、ブライス、兄をしっかりと支えるのだぞ」
「はい、父上・・・」二人は声を合わせた。
「おお、ソニア、迎えに来たのか・・・」
「父上!」
「陛下!」
エストリア王ブライトン二世は、遥か天空を見据えたまま、息を引き取った。
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