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「準備はよろしゅうございますか」
ブライスはグランツが用意した軽装の騎士の装備で出発の準備を整えつつあった。
「まあ、折角のべっぴんさんがこんな格好して・・・もったいないねぇ・・・」
グランツの母アネットは、どこから見ても勇ましい女騎士の姿になったブライスを見て思わずこぼした。
さすがのグランツも、母親にはブライスのことを「王家ゆかりの娘」としか教えておらぬ。万が一追っ手に捕らえられ、拷問に掛けられようとも知らぬものは答えられないからである。
ブライスもその辺のことは分かっていたので、ここではリリスと名乗っていた。
さすがにリシアとも、ブライスとも名乗る気にはならない。
「お世話になりました。では」ブライスは、馬に跨りアネットに別れの挨拶を告げた。
「気をつけて行くんだよ。女の旅は危ないからね」
「俺が付いて行くんだから、大丈夫だ。では、参りましょう」
ブライスはグランツを伴って、グランツの家をあとにした。
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