<第三章:旅立ち>

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「グランツ、王宮前広場に寄る」 「で、殿下!それは自殺行為にございますぞ」 「フフ、この格好では誰も私とは気付くまい」 「しかし・・・」 「それにその、『殿下』っていうのはよせ。その方がよっぽど自殺行為だ。人前にいるときは『リリス』にしよう」  どういう吹き回しか、ブライスは「リリス」という呼び名を結構気に入っていた。  それはあのナイに飲まされた薬のせいかも知れなかったが、とりあえず今のブライスには支障はなかった。 「で、殿下・・・」 「本音を言えば、父上の葬儀に顔だけでもだしてやりたいのだ。民衆の中に紛れればよもや私とは誰も気付くまい」  こうして、二人は王宮方面へ駒を進めた。
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