<第四章:西へ>

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  ブライスは今までの一部始終をルーンに話して聞かせた。 「それでは、クウの国まで・・・殿下、それがしにも供をお命じ下さい。それがしの剣は殿下に捧げし物にございます」 「ルーン・・・しかし今の私は王子とは言えぬ。権力も金もない、ついでに女の身体だ。それでもそなたはそう言ってくれるのか」 「なにをおっしゃる殿下。殿下は世界にただ一人の殿下ではござらぬか。その殿下に捧げし忠誠の剣に偽りはございませぬ。それに、身体など・・・それを取り戻す旅でございましょう?それにお供できるなど、身に余る光栄にございます」  まっすぐにブライスの目を見て答えるルーン。 「ルーン・・・ならば命じよう、ルーン、私に随行を命じる。クウの国へ行き、必ずエストリアへまた戻るのだ」  ブライスもそれに応える。 「ハッ!ありがたき幸せ!」 「良かったなルーン。おぬしがいるなら百人力だ」 「ああ。これからもよろしく頼むぜ」  グランツとがっちりと握手を交わすルーン。そして彼は、後ろに控えている国境警備隊の騎士たちに振り返ると、力強く言い放った。 「国境警備隊の諸君、俺は今を持って国境警備隊を退役する。ブリアトーレに注進したい者があれば止めぬ、ただその時は一言付け加えておけ」 「な、何とでございますか」騎士の一人がおそるおそる尋ねた。 「糞っくらえ!とな」  こうして、クウへの旅に、強力な味方が一人加わった。 「我が暗黒の下僕達よ・・・」  ナイの前に、ローブ姿の女達が、跪いていた。 「よいな、必ずやかの者を見つけだし、抹殺するのだ」  ナイの命令を受けた女達は、三々五々散っていった。  目的は、リシアこと女の姿をした王子ブライスの探査及び抹殺。 「フォッフォッフォ、いずれ、我らが復活の時が来るぞ」  ナイの高笑いが、神殿に響いていた。 (ライト・ライト・ストーリー2~暗黒の騎士~につづく)
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