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ブリアトーレは、ナイと一緒に三王子いや王女の部屋を回った。
「もっと早くあの者たちを変えられぬのか」ブリアトーレは、今日の成果に不満なようであった。
ナイが彼に近付いたとき、ナイは小姓の少年を一夜にしてブリアトーレに従順な妾に仕立て上げ、力を証明して見せている。
「フィムの秘薬は、調合がむずかしゅうございます。三人分用意するだけでも大変というものでして・・・まだ今日はあの者たちも突然の変身でまだ王子としての自分から抜け出られないのでありましょう。時間が経てば、嫌でも自分が何者なのか理解するはず。いずれ暗示を掛けなくとも各々自分のお立場を疑いもせぬようになります故」
「だが・・・」
「急ぎすぎておかしくなられても困ります。ついでに陛下の意のまま逆らわぬようにとなれば・・・姫様方には正常な姫君になって頂かなくてはならぬのです」ナイはたしなめた。
ブリアトーレには、彼女達を使って企むところがいくつかある。確かに以前の小姓はナイの言うように、従順ではあったがブリアトーレが命令を与えたとき以外はまるで廃人のようだった。
「まあ仕方ない。明日の即位式には、喪中にて欠席させよう」
翌日・・・
王宮にて、新国王ブリアトーレの戴冠式が行われた。
「司祭長」ナイの手によって、ブリアトーレの頭に、王冠が乗せられる。
「新国王、ブリアトーレ陛下万歳」大公の親衛隊長ロウガン将軍のかけ声で、万歳三唱が唱えられた。
しかし、王宮前に集まった国民からは、一つも万歳は上がらなかった。
既に、ブリアトーレが陰謀によって王位を簒奪したことは国中に知れ渡っている。
それどころか王子達の運命についてさえも、国民達には知れ渡っていた。
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