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帰宅時間の夕方五時になり、私は夜の予定もなくなったので、一人家でお酒を飲むことにした。
外はマフラーをしていても、やっぱり寒くて、こういう寒い日こそ、彼と一緒に過ごしたかったなと少し後悔した。
(…やっぱり会いたい、って言おうかな)
そう思って、スマホを取り出そうとしたとき、向こうから一組のカップルが手をつないで楽しそうに歩いてきた。
その二人は、傍からみてもお似合いで、それを見て、やっぱり彼に会いたいと思った。
でも…、できなかった。
距離が近づくにつれて、遠くからじゃわからなかった顔と声がはっきりしてきて、どちらの顔も声も、私が一番見覚えのある人たちだったからだ。
ふと彼女と視線が合いそうになり、私はとっさに下を向いてしまった。
その後、二人は、私には目もくれずに、横を通り過ぎていった。
私は下を向いたまま、ショックでそこで立ち止まってしまった。
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