あるクリスマスの女の話

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本当は気づいていた。 気づいていないふりをしていた。 世間がクリスマスでにぎわっている頃、私は一人、部屋でお酒を飲みまくっていた。 さっきのできごとを、彼との思い出もすべてかき消すみたいにお酒を煽った。 机にたたきつけるように置いた缶ビールの音は私の部屋にはっきりと響く。 自然と涙も流していた。 「本気だったのに…」 小さな声でつぶやいた私の本音も、誰にも届かなかった。
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