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寄り添う僕らに母親は声をかけてきた。
「よかったね。ずっと会いたかったんだもんね」
母親はそう言って、僕らを見て笑った。少年も笑ったまま、僕から離れなかった。
「他のキャラクターには何も言わないのに、本当にマーキーばっかり」
「だって、大好きなんだもん」
この言葉を浴びた時、僕はもう、どうする事もできなかった。
そんな時間があっという間に経ち、二人は大きく手を振りながら別れた。
僕は涙を流していた。本当の自分。秋田の事なんてどうでも良くなっていた。
そんなもの、どうだっていいじゃないか。手に残る温もり。マーキーを好きだとはっきり言ってくれた喜び。それを全身で感じたんだから。これ以上、他に何を求めるというんだ。そう僕は僕に訴えかけた。
「僕はマーキー。この国の人気者!」
あの少年に、僕は、ありがとうと呟いていた。
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