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おじさんはひと休みしてから、話をしました。
ひとつ目の町、ふたつ目の町、町と町のあいだの道、出会った人、もの、空気。子どもたちにもらったスケッチブックはふかふかになっていました。
子どもたちの目はどんな星よりもきらきらまたたいて、いつの間にか集まっていた大人たちの顔はわくわくとあしぶみをしていました。
「遠くへ行ってみたい」
子どもも大人も、口をそろえて言いました。
おじさんはとても嬉しくなりました。
そしてあの山の上で、あの月の下で、この町の人たちをいちばんに思い出したことを、思い出しました。
おじさんが今までずっと暮らしてきたこの町のみんなと、このぽかぽかをいちばんに分けあいたかったのです。
おじさんは、帰ってくるこの町があるから、遠くへ行けたのだと気づきました。
そしてもっと、嬉しくなりました。
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