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肆
「ちょっ……先輩……?」
風呂から全裸で出てきた俺に動揺する晴一の更に不意をついて、俺は奴のスウェットを無理矢理引っ張り降ろしそれを取り出した。
「いや……そんな事したい訳じゃな――」
口では抵抗してる風だが、身体は素直で手のひらにのせて軽く揉むだけで晴一のソレは膨らみ始める。
「したくないなら、なんで帰らなかった?」
「ただ、ちゃんと話しを――」
言い終える前に躊躇なく口に含んでやる。晴一は「うっ」と呻くと、その行為を素直に受け入れる。
「話すことなんかもう無い」
――どうせ、まともに話しなど通じないのだから
「人のこと襲っといて、何を今更――」
わざと扇情的に上目で睨みつけながら、晴一が口を挟もうとする度に根元まで咥え込んだ。
「今後、何があっても、俺がお前を好きになることは無い」
時にもどかしく、時に的確に与えられる快感に晴一は小さく喘ぐだけで、もう何も答えなかった。既に聞こえているのかどうかすら、怪しい。
意地悪するつもりで、わざといいところで止めたりするにも関わらず、早くも晴一のソレは悲鳴を上げるかの如く脈打ち始めた。そろそろ楽にしてやるか、と思った途端、なんの予告もなく喉奥に勢いよく生暖かい物が発射された。
流石に噎せ返る。俺の感覚も鈍ったもんだ……いや、奴がただ若いだけか?と意外にも冷静に顔を上げると、晴一が申し訳なさそうに俺を見下ろしていた。
「……ご、ごめん」
なんとも萎える顔だ。
口を大きく開けて、口の中に残った白濁を見せつける。そして、目を丸くしているうちに残さず飲み込む。
探るような視線で晴一を見れば、初々しくも照れて見せるので、俺もやっと気分が上がってきた。
抱きつくように身体を寄せ、晴一をそっとラグの上へ押し倒す。まだ戸惑うその頬に、続けて唇へと軽くキスを落とすと、ふっと嬉しそうな息が漏れた。
キスに意味を持たせる者も少なくないが、俺にはなんの意味もない。単なる行為の延長でしかないのだ。
でも、吐息で喜びが伝わるくらい晴一には特別なものだったらしく、キスのスイッチで迷いが吹っ切れた様だ。理性が吹っ飛んだと言った方が適当か――まるで貪るように舌を絡めてきた。
歯が当たってしまいそうな荒々しい口づけでグイグイ迫られ、いつの間にか形成が逆転。俺が組み敷かれる形となる。
「先輩……ベッドに……」
ムード満点、トロンとした顔でそう言ってくれた所申し訳ないが、俺は冷静に首を振った。
「いや、ここでいい。マットレスが汚れるのは困る」
「くっ……なんでそんなに事務的なんだよ」
しゅんと萎えた顔をしたものの、下半身はまだまだ元気みたいだ。そっちも萎えてしまわぬ内にと、舌を突き出して晴一を誘えば、また素直にがっついて来るから愛くるしい。
荒々しく口内を犯されながらふと思う。こいつ、本当に男としたことあるんだろうか――実はあれも、俺を誘い出すための虚言だったのではないか……案の定、
「念のため確認するが、俺がネコでいいんだな?」
と、聞けば、キョトンとした顔が返ってくる。まあ、例え虚言だとしても、今更引けない。
説明するのも面倒なので、そういう事にして、少しずつ誘導しながら行為を続行させた。
晴一は形式上なのか俺のモノを触りたがったが、身を捩ってサラリと躱した。
「前より中が感じるんだ」
と言って、自ら解す姿を見せつけると、興奮するよりも少しだけ引いている雰囲気があって安心した。
変に男に慣れられても責任は取れない。
挿入の時にも晴一の好きにはさせない。勝手がわかるか不安や、主導権を握られたくないなどの諸々の理由はあるが一番は俺もそろそろ気持ちよくなりたいからだ。久しぶりのセックスなのに、手解きするばかりで、なかなか楽しめていない。晴一の体力と性欲を考えれば、一回で終わりと言うことはないだろうが、最初は好きにさせてもらう。
寝そべった晴一の中心で雄々しく天を向くソレにゆっくりと腰を落として行くと、久々の圧迫感に胸の辺までズンズン重くなって行くのを感じた。全てを飲み込み、一つ息を吐くと、動いていいかと確認をとる。晴一は、短く息をしながら小さく頷いた。
俺が虚勢を張れるのはここまで。悦い所目掛けて腰を動かせば、自然と甘い声が口から漏れた。後は考えなくても腰は自然と動く。
「あぁ……先輩……の中……すげえあったかい……」
リズムに合わせて晴一も腰を突き上げ始めた。
寒気にも似た感覚が背中を走り、もう少しで頂点に辿り着きそうと言う予感がしたと同時に晴一が果てた。
くそっ、この役立たず。
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