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大切なヒトなんです。
わたしは彼に助けられました。墜落したわたしを、彼は柔らかい寝床で休ませてくれて、美味しいものまでくれたんです。
「怖かったな」って言ってくれた時、思わず泣いちゃいました。あんな風に優しくして貰ったの、初めてだったので。
それから一緒に旅に出て、色々な方と出会って。時には危ないこともありましたが、彼はいつもわたしたちを助けてくれました。
色んな事が出来て、強くて、優しくて。いつしかわたし、彼と一緒にいるのが楽しくなっていました。
でも同時に、不思議な気持ちも生まれたんです。
彼がわたしを褒めてくれた時、なんだか顔が熱くなって、頭がぼうっとして。それから彼を真っ直ぐ見れなくなって。
彼が嬉しいとわたしも嬉しくて、彼が痛いとわたしも苦しい。初めての気持ち。知らない気持ち。あったかいのに、少し怖い気持ち。
彼は「『島』を守りたい」って言っていました。わたしも応援したいけれど、それは同時に危険に巻き込むって事で。彼の気持ちは大切にしたいのに、彼が傷つくのは嫌なんです。……これって、わがままですかね。
だからわたし、強くなる事にしました。わたしが強くなれば、彼が危ない事をしなくても大丈夫なはず。近寄る危険は全部わたしがやっつけます。邪魔するものも倒します。全ては彼を守る為。大切な彼の為です。
だから退いてください。ノアさん。
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