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「そういや千鶴は?良い人いなかったの?」
「んー、私はいいかな。今は仕事も忙しいし、恋愛とかは」
弁護士の仕事が忙しい千鶴は、家でもいつも仕事や勉強ばかりしている。
美人なのにあまり色気がないのは、男性とデートをするようなことがほとんどなかったからだと思う。
2DKのマンションで二人暮らしをしているけれど、千鶴はだいたい職場と家の往復で、出かけるといえば私が無理矢理誘って連れ出す時くらいだ。
「何言ってるの、恋愛なんて二の次よ?来年には三十歳なんだから、一にまず結婚。私みたいにさっさと結婚相手を決めないと」
「決めないとって…まだ決まってないじゃん」
「いや、決めるの。絶対、五十嵐社長と玉の輿婚する!」
声高らかに、そう宣言した時だった。
「ははっ、アホくさっ」
乾いた笑い声とボソリと聞こえた声。
その声がした方に自然と視線が動く。
すると斜め後ろで、呆れたように笑う男と目と目が合った。
この男…は。
さっきの自己紹介のタイミングに現れた、邪魔者A!!
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