好機到来

10/13
前へ
/108ページ
次へ
「そういや千鶴は?良い人いなかったの?」 「んー、私はいいかな。今は仕事も忙しいし、恋愛とかは」 弁護士の仕事が忙しい千鶴は、家でもいつも仕事や勉強ばかりしている。 美人なのにあまり色気がないのは、男性とデートをするようなことがほとんどなかったからだと思う。 2DKのマンションで二人暮らしをしているけれど、千鶴はだいたい職場と家の往復で、出かけるといえば私が無理矢理誘って連れ出す時くらいだ。 「何言ってるの、恋愛なんて二の次よ?来年には三十歳なんだから、一にまず結婚。私みたいにさっさと結婚相手を決めないと」 「決めないとって…まだ決まってないじゃん」 「いや、決めるの。絶対、五十嵐社長と玉の輿婚する!」 声高らかに、そう宣言した時だった。 「ははっ、アホくさっ」 乾いた笑い声とボソリと聞こえた声。 その声がした方に自然と視線が動く。 すると斜め後ろで、呆れたように笑う男と目と目が合った。 この男…は。 さっきの自己紹介のタイミングに現れた、邪魔者A!!
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

170人が本棚に入れています
本棚に追加