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何が真実かはわからない。
だけど、わざわざ私に会いに来てそんなことを伝えてくるということは、少なからず好意を持たれているの?
巧妙な仕掛けを作ることもなく、糸にかかった大きな魚。いや、高級魚。
しかし、一体私のどこに好意を?と不思議に思った時。
「そういえば、賢人とはどういう関係なの?」
予想だにしなかった名前が突然飛び出し、ひどく動揺した。
どうしてミサキが出てくるの。
「どういうって…何の関係もないですよ」
何故かドキドキしながら答えると、五十嵐さんはくすりと笑う。
「そうなの?おかしいな」
やけに意味深な言葉。
聞き流すことは出来ず、すぐに切り返す。
「何がおかしいんですか?」
「いや、賢人がさ、保育士の日野七香には近付かないでくださいって。わざわざそんな電話をしてきたんだよ」
「えっ…」
私には、近付くな?
どうしてそんなことを?
訳がわからず返答に困っていると、悪いタイミングで目の前の信号が赤になった。
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