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「ちょっと!さっきから思ってたけど人のことアホアホって…私にはちゃんと日野七香っていう名前があるんだけど」
苛立ちながら掴んでいた腕を離すと、無表情のまま邪魔者Aがボソッと口を開いた。
「へぇーっ。別に聞いてないけど」
「はっ、はぁ!?私が名乗ったんだから、あなたも名乗るのが礼儀でしょう?」
そう言って詰め寄ると、邪魔者Aは怪訝そうな顔でハァッとため息を吐く。
「礼儀?んなもん知るか。勝手に名乗ったのはそっちだろ。悪いけど、アホと関わる気はないから」
男はそう言うと、表情一つ変えることなく立ち去っていく。
その後ろ姿を見ていると、沸々とわきあがってくる行き場のない怒り。
「何なの…あいつ」
怒りのおかげで戦意喪失になった私は、五十嵐社長という超大物の連絡先をすでに収穫していたこともあり、パーティー会場には戻らず千鶴とともに帰路についた。
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