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「七香、出来たよー」
千鶴に呼ばれ、ベッドからむくっと起き上がった。
部屋を出ると、ダイニングテーブルの上には卵焼き、漬物、海苔、お味噌汁にご飯。
シンプルイズベストな朝ごはんが並んでいる。
「いただきます」
「はい、いただきまーす」
両手を合わせそう言うと、私と千鶴は同じタイミングで汁椀を手にしてお味噌汁をすすった。
「やっぱ千鶴のお味噌汁が一番だな」
「ふふ、そりゃどうもー」
目を合わせたまま、同じタイミングで笑う。
千鶴の笑顔を見ていると、なんだかホッとする。
友達でもあり、家族のような存在の千鶴。
私が死なずに生きてこられたのは、千鶴がいたからだろうな、なんてことを改めて感じる。
苦しい時も、悲しい時も。
荒れ狂った時も、泣きじゃくった時も。
いつだって千鶴がいてくれたから、私は壊れずにいられた。
ねぇ、千鶴。
「私が男だったら、絶対千鶴と結婚するんだけどなー。ごめんね、生憎女だからさ、五十嵐社長と結婚するけど」
「ちょっとー、何で私が謝まられてるの。っていうか、七香が男だったら私一生働きまくらなきゃいけないじゃない。逆玉狙いのヒモ男とか絶対やだから」
「あははっ、ひど!」
こんなことばかり言ってると、呆れて愛想つかされそうだけど。
強欲とか高飛車とか、他人になんと思われたっていい。
玉の輿に乗る!
そうすればきっと…千鶴もようやく安心してくれるような気がするから。
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