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自分で言うのもなんだが、私はルックスには自信がある。
身長は百六十センチで別に高くはないけれど、顔もスタイルも良い高ゾーンにいると思うし、日々欠かさずストレッチや筋トレをしているから、締まるところはしっかり締まっている。
肌年齢だって百貨店の化粧品売り場で「年齢よりも五歳は若い」と美容部員からお墨付きをもらった。
毎日のパック。リンパマッサージ。
全ては玉の輿に乗ると決めたあの頃から、自分磨きだけには手を抜いてこなかった結果だ。
ほら、だから今だって鏡にうつる自分は流行りのワンピースを見事に着こなしている。
だけど、サクッと購入する気になれないのはトラウマで培われてきた貧乏性のせいだろうか。
この年齢なのに、九千八百円という金額だけで躊躇する自分がいる。
流行りものはすぐに代わる。
それなら、長く着られるシンプルなものの方が…と心がゆらゆらと揺れ動く。
いや、でも!!
千辛万苦を重ねた末、ついに訪れた幸運の到来。
五十嵐社長と食事に行けることが決まったんだから、ここはひとつ流行を意識して時代に乗っておくのが良い。
不況の時代を颯爽と生きる、勝ち組の王子様。
五十嵐 龍をゲットするには、ワンピースの一着や二着、惜しんでいられない。
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