好機到来

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六本木にあるアレックスホテルの最上階。 地上三十八階にある広いラウンジからは、三百六十度パノラマの夜景が広がっている。 優雅な雰囲気全開の、選ばれしものだけが集う交流パーティー“Superlative”。 今ここにいるのは、その名の通り最上級という言葉が相応しい人ばかりだ。 唯一年齢だけは二十歳以上と限られているようだけど、国籍や性別、未婚か既婚、職業は問わず幅広い人間が参加できる、いわゆるビジネスエリートのための異業種交流会のようなものらしい。 社外ネットワークの構築や人脈作りを目的としたこのパーティーは、不定期ではあるものの年に二、三回は開かれているという。 政治家や会社経営者、医者にパイロット、音楽プロデューサー。 職種は皆違うけれど、一流の人間が一流の人間と繋がりを広げる場所。 そんな空間に、どうして一般人の私がいるのか。 それは幼馴染である山崎千鶴が弁護士をしていること。 そしてその千鶴の大学時代の後輩である灰原雪乃ことゆきちゃんが、灰原グループの社長令嬢であり、このパーティーを主催する灰原洋二の妹であること。 その二つが、私がここに来られた大きなきっかけだ。
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