藍の物語

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幼い頃は、この家がどの国の何処に有るのかも知りませんでした。ですが、自室の窓や柵の向こうに木々が生い茂るのを見ると、山の中にあるのが分かります。3ヶ月毎に四季が巡り、昼夜の気温差も穏やかな為、日本国だという事も分かりました。落葉広葉樹ばかりで冬季の積雪の深さを考えると、きっと北の県…。 私の居るここは寂しいところです。楽園ではありません。近頃は「檻」だと思えてきました。いや、檻と言うと誇張し過ぎているような気がします。お父様は私を想ってこその約束なのです。アイなのです。 なので、蔦の塀で囲まれたこの場所に因んで「きへん」を「くさかむり」に変えましょう。
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