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わたしは考えていたの。お父様はわたしを追放するか。もし約束を破ったら、お父様はわたしをどうするか…。
突然だけど話題を変えるわ。
お父様がどんな人なのか御話したいの。
もちろんお母様のことも。
わたしのお父様もね、特別な力を持っているのよ。何せ、わたしに力の使い方を教えて下さったのはお父様なんです。
お父様はその力を使って、世界中に物語を届けているの。素敵よね。
ここでわたしも、わたしの特別な力を使って、お父様とお母様が出会ったあの頃へ行ってみました。
お父様がお母様に出会ったのは、まだお父様が大学生だった頃のこと。その時は、木枯らしが鼻先を擽ぐる秋だったわ。
肌寒い昼間。チェスターコートのポケットに文庫本をいれてトラベラーリッドのホットコーヒーを片手にお父様はいつもどおり、お気に入りの公園を散歩をしていました。
その公園には湖があって、その水辺を囲む様に銀杏の木が綺麗に並んでいたわ。その中の一本の側に、湖を眺めるようベンチがあるの。木で作られていて、雨風を吸い込んで灰色になったベンチよ。お父様はいつもそのベンチで、小一時間ほど読書をするの。
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