藍の物語

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藍の物語

私が綴った物語はそこで一旦途切れた。 私は自室のベッドで不貞寝しています。そこは見慣れた部屋、私だけの匂いがする8畳程の空間。部屋には壁を覆い隠すように書架が並んでいて、そこには沢山の本があります。小説や漫画、絵本や画集、世界中の景色を撮り集めた写真集。各国の歴史書に語学書、様々な神話書、等等…。 飽きないほどの本があっても、こんな部屋にずっとは籠っていれません。本を読み勉学に努めていても、不貞腐れ毛布に包まっていても、もちろんお腹は空くのです。 部屋を出て階段を降りるとダイニングキッチンがあります。そこの大きな冷蔵庫には色々な食材が保存されてます。私はお魚が好きなので、季節毎に旬のものが入っている冷蔵庫を愛しく思うのです。今は秋なので鮭や鰹、𩸽に(ハモ)なんかが並んでいます。(たま)にハムールなんて珍しい魚も。 魚達は調理がやりやすいように、捌いてもらってあるのですが、(いず)れ自分で捌けるようになりたいと思っているこの頃です。 リビングの方には革製のソファがあり、その目の前にはレコードラックとCDラックが並べられ、立派なコンポーネントオーディオがその真ん中で構えられています。揃えられた音楽もこれまた豊富なのです。クラッシック、ジャズ、ロック、パンク、ヒップホップ、レゲエ、R&B、エレクトロニカ、ワルツ、ケルト、等等…。私はお気に入りのエレクトロニカのCDを流して料理に取り掛かりました。
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