双星

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双星

「流石は歌姫、アカリ!圧巻の歌唱力で観客の皆様の空気を一気に自分の世界に包み込みました!」 「ありがとうございましたぁ!」 歌姫ではあるが、ボクは男である。 芸名が「アカリ」で本名は早乙女明(さおとめあきら)。この明をとって、アカリという経緯らしい。 今は事務所の方針で「歌姫」つまり、女性として振る舞うようにしろと言われて従っているだけ。本当は一人称がボクではなく、俺だし、女性になりたいと思った事はない。 ましてや女装なんて初めての経験。 最近はプライベートでもボクって言うぐらい浸透してきているし、美容にも気を遣い、自分が自分で分からなくなっている。 「アカリ、お疲れ様です。新曲を初披露したからSNSでもトレンド入りしています。」 「…まあ、当たり前でしょ。ボクの歌に狂いは無いからね。」 歌は芸術だ。寸分も狂わず、流れるように技巧を凝らして披露するもの。 俺は歌手になりたくて音大で優秀な成績を収めてから、この業界に入って来てるし、ボイトレだって毎日、欠かさずに行っている。そこら辺のアイドルとは歌に対する気合いが違う。 「流石は歌姫、アカリですね。今後の予定ですが、特番の歌番組でコラボがあるんです。」 「…誰とやるのかしら?」 「今、人気絶頂の男性アイドルグループ、Cosmicで歌唱力No.1と謳われているリーダーの皇木悟(すめらぎさとる)さんです。」 噂には聞いた事があるな。 そういえば、雑誌のアイドルの歌唱力ランキングで堂々の一位を飾っていたような…? Cosmicは抱かれたい男性ランキングにも常連の人気アイドルか…俺が女性として同じ舞台に立つから、其方のファンから反感を買いそうで怖いが、芸術の為だからやるけどね。 「まあ、相手にとって不足はないわ。お互いに上手くマリアージュ出来るといいけどね。」
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