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恋しかった。
登下校の道で似た後ろ姿を見つけては、悲しくて苛立って。
校舎内のいたるところで北上との思い出がよみがえり、苦しくて切なくて。
この2年間は苦痛でしかなかった。
何度も、受け取った連絡先に電話をかけようと指先が動いた。
卒業を待たずに会いに行ってしまおうかと、焦燥感と不安に押しつぶされた。
でも、もう終わり。
あと数時間後には、北上に会える。
あの柔らかい眼差しに見つめられ、あの温もりを感じられる。
窓の外を流れる景色は次々に変わっていく。
どんどん彼のいる場所へと近づいていく。
会いたい。
早く、抱きしめたい。
***
誰もいない、勤務先の高校。
もうすぐ17時の鐘が鳴る。
校舎内も正門も施錠され、入ることはできない。
「……はぁ」
本当に来るのかなんてわからない。
距離もだいぶ離れているし、本人からの連絡もない。
こうして学校の前に立ち尽くしていても、意味はないかもしれない。
今日の午後に、谷矢から『秋良が向かってる』と聞いたときは本当に嬉しかった。
疑っていたつもりはなく、ただ確信が持てなくて怖かったから。
ずっと、この時を待っていたから。
「今、どの辺りなんだろう……」
到着してなくても、現在地くらい教えてくれれば安心するのに。
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