13.

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緊張に震える指で応答ボタンをタップし、「もしもし……」と同じように震えた声で応えた直後、それは切られてしまった。 「え……っ」 いたずらか。 苛立ちよりも、悲しみが募る。 誰だかわからないけれど、こんなときに。 「はぁ……」 人気のないこの場所は、とても静かで。 時折り突風にも似た春風が、散った桜を巻き上げ連れ去る。 一人でいるのは、少し寂しい。 たっているのに疲れ、北上はゆっくりと座り込んだ。 人影が通る度に顔を上げるも、犬を散歩させている老人や遊び帰りの子供達が時々通り過ぎるだけ。 なんだか取り残されたような心許なさと虚無感に包まれ、泣きそうになる。 「……あきら」 耐えられず名前を呼んだ。 まだここに着いていない彼が、返事をしてくれることは無いと分かっていても恋しくて。 「何ですか」 北上の声を拾ってしまった誰かが、何気なく返答したのだと思った。 だって彼の声色とは違う。 2年聞いていなかったとしても、判別くらいつく。 「すみませ……っ」 虚しさと恥ずかしさと、第三者への申し訳なさに苦笑を貼り付け、北上は顔を上げた。 相手は自分の目の前で立ち止まっている。 覆うようにして重なる影が、それを示している。 「う、そ……」
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