13.

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「……せんせい」 秋良の腕に力がこもった。 「ん……?」 返答した北上の声は、誰が聞いても分かるくらいに涙声で。 「好きです」 耳元で。 直後、耳朶に触れる唇の感触と、小さく響いたリップ音。 「……っ!」 北上は自分の体温が瞬時に上がるのを、手に取るように体感した。 言われなくても知っている言葉。 分かっている想い。 でも、一度音にするだけで、こんなにも嬉しいなんて思ってもいなかった。 それに、2年前はっきりと言ったのは自分だけで、秋良からは言われていない。 「うぅ……っ」 嗚咽と共に鼻をすすると、「まだ泣いてるの」と頭を撫でられる始末。 どう考えたって2年で8歳もの歳の差を覆すことなど出来ないのに、これではまるで北上が年下のような扱いだ。 これもきっと、身長のせい。 秋良が、成長期で伸びたせい。 「……秋良、身長何センチ」 「182センチ」 「……大きくなったね」 不貞腐れも通り越して、彼の背中に回した手で拍手を贈る。 出会った当初の1年は自分よりも小柄で線も細く、どこか儚い雰囲気が危うくて心配だった。 たった2年、と言っていいのかは分からないが、心身共に成長したのだと感心した。 「そんなことより」 「え?……わぁ」 突然両肩を掴まれたと思えば押し離され、北上は間抜けな声を上げる。 見下ろしてくる秋良はずっと目を逸らさず、黙っていて。
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