13.

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嬉しいに決まってる。 今だけでなく、秋良の未来に自分がいるのだ。 「でも……っ」 この声が弱々しく震えるのは、涙がこぼれるのは、逃げられない現実を見つめているから。 理事長は、北上を解雇した張本人だ。 可愛い孫に手を出した人間がまた現れたのでは、いい顔はしないだろう。 一緒にいることを、許すはずもない。 分かりきっている現実だ。 「……せんせいは俺のことどう想ってるの?」 ゆっくりと、秋良の手の内から自分のそれを引き抜こうとすると、問いかけと共に握力が増して。 「好きだよ……」 迷いも偽りもなく即答しては、北上も握り返す。 「なら、もう何も考えず俺と一緒に来て。俺の傍にいて」 真っ直ぐに見つめてくる秋良の黒い瞳。 やっぱり堪えきれず泣き顔を背けると、強い力で引き寄せられて。 「俺はもう、せんせいを離せないし離すつもりも無いから」 泣いていいよ、と囁かれて。 北上はすがるように秋良の背中に両手を伸ばし、声を上げて泣いた。
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