Beatrix -ビアトリクス-

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「あーあ。マジでもったいないよなー」 ふと隣を見ると、広斗もまた榎本に視線を向けていた。 「あんな無駄遣いするくらいなら、その容姿、俺にくれよ」 確かにあれぞ宝の持ち腐れだ。 これまで言い寄ってきた女子の中には綺麗な子だって可愛い子だってきっと沢山いたに決まっている。 もしかしたら学校外にとびきり可愛い彼女でもいるのかもしれない。 「あれ、マジで卒業まで貫くつもりなのかね。学校来る意味なくねぇ?」 広斗がいぶかし気に首をひねる。 「勉強だけしに来てるんじゃないの?」 俺は適当にそう答えたが、広斗はそれを否定した。 「それなら予備校に通った方がよっぽどよくねぇ? わざわざ全日制に通わなくたって高卒資格だけ取れるとこはいっぱいあるだろ」 確かに人と関わりたくないのなら、そういう選択肢の方がいいように思える。 それでもわざわざ全日制の高校を選び、毎日きちんと通学する榎本の行動は謎を越えてもはや理解不能だ。 「何にしても変わってるよなぁ」 広斗は言いながら前を向くと、もう今週末のライブの話を始めていた。
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