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奴の瞳の中に青空が取り込まれていた。
大人たちは皆、若い僕らには何でも出来るなんて言う。
だから俺は広斗にその夢を叶えてほしいと思う。
でもこんなにも切なさに胸が締め付けられるのは心のどこかでそれが夢で終わるだろうことを想像しているからだ。
叶えてほしいと思いながらも、その行方を俺は無意識のうちに叶わない方向で断定している。
駐輪場で互いの自転車に鍵を差す。
広斗はいつも解き放たれたように生き生きとした表情で「また明日な」と手を上げる。
俺も手を上げ、それに答える。
遠ざかっていく後ろ姿が俺にはとてつもなく眩しく見える。
広斗がこちら側に来た時には、一緒に夢の儚さを語って嘆いたりするのかもしれない。
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