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家に帰ると、いつも通り、俺が一番乗りだった。
父は仕事、母はパート、秋菜は部活、何もやることのない俺だけがいつも夕方4時前には帰宅する。
キッチンで麦茶を1杯飲んでから、自分の部屋に入った。
どこにでもあるごく一般的な6畳の洋室の中は、外からの西日でやけに優しい色合いに染め上げられている。
壁に付いたいくつもの四角い跡が今日はまるで強調されるかのように目立っていた。
カードやハガキ、ポスターなど様々なサイズで並んだ四角はすべて写真を貼っていた跡だ。
子どもの頃から写真を撮ることが好きだった。
最初は親の携帯電話を借りて撮っていたのだが、その出来栄えを絶賛した両親が小学校高学年に上がった頃にはコンパクトデジカメを与えてくれた。
俺はそれを愛用して、いろいろな風景を切り取った。
最初は家の近所を中心にただ思ったままに撮り下ろしていた。
友達にモデルをやってもらって、ポートレート撮影をしたことも何度かある。
そのうち、そういう普通の撮影に満足がいかなくなった。
自分独自の世界観を作って、表現してみたいと思った。
そんな時に丁度、テレビでテラリウムのことを知ったのだ。
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