Beatrix -ビアトリクス-

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「もう本当にあんたはいつまで経っても子どもなんだから」 極め付けに嫌味たっぷりのセリフが飛んでくる。 どうせ俺は子どもだと言い返してやりたくなる。 そもそも大人って何だよと俺の納得の行くまで説明を求めたくなる。 けれど、そんなことをしてみたところで、互いに納得のいく話し合いにならないことはわかり切っている。 なぜなら母もどうして俺が子どもで、大人とは何なのかと言う質問の答えを持っていないからだ。 母が俺を子どもだと言うのは「何でもそつなくこなせないから」だが、そんな大人はこの世の中にきっとごまんといる。 先程の俺のように美女に見とれてスープをこぼす大人だってきっといるし、効率が悪い大人だって多分いる。 けれど、それを主張したところで、「また屁理屈ばかり言って」と余計に怒られることは目に見えている。 最後の一口のコーンスープを飲み干して、じんわりと胃に落ちていく温かさで心を落ち着かせる。 席を立つと、カップをキッチンカウンターに置いた。 ドンと重い音が響く。 俺は椅子の下の鞄を掴んで、リビングを出た。 背後でバタンと激しいドアの音が鳴る。  
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