17人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
⒈プロローグ
「はぁ、山登りってつらいなぁ」
普通すぎる人生が嫌で、刺激を求めて始めた山登り。そんなことを考えていたころの自分が憎い。twitterを開いて【登山なう】とつぶやく。登り始めるツイートをしてから3時間。返ってくる返信はアンチコメばかり。(暇人多すぎだろw)と心の中でつっこむ…さみしいなぁ。
休憩のはずなのに気分がすごく悪くなった。さっさと登ろ。
崖側の道を渡るゾーンに来た。スリルがあって人気らしい。試しに下を見てみる。…あぶねっ、意識飛びかけたぞ!あー戻りたい。でも人がいるのに戻るのは迷惑だよなー。
(ギシッ)
おれは立ち止まった。後ろからは
「あぶねーな!」
「いきなり止まるなよ」
って怒ってる。知るか。
嫌な予感がする。
(ギシッ)
まただ。何かがきしむ音がする。今度はみんなに聞こえたらしい。全員が黙った。
「上だ!」
誰かが叫んだ。
みんながいっせいに上を見る。落石だ。落ちないようにするための金網もあるがあの大きさじゃ壊れてしまう。下には人がいる。彼らは恐怖と混乱で固まってしまっている。まずい。
不思議なことに俺には何をすべきかわかっていた。彼らに向かって走った。疲れてるはずなのに全力で走ることができた。
最初のコメントを投稿しよう!