二十歳

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そんな話の中、優介と萌子は親公認で一緒に住んでおり卒業後は結婚する予定だと話した。   「萌子は資格を取って仕事がするけどな」   「資格といえば?あのね!私、麻友に会ったよ」   田舎にいた彼女はこっちに就職し住んでいると話した。   「どこに」   「それがね。すごいんだよ?」   司の問いに、萌子はスマホの画像を見せた。   「これ。麻友か?」   「驚きでしょう?」   夢のワンダーランド遊園地で彼女は時間の国のアリスになっている写真に司はびっくりした。   「この会社に事務職で就職したんだけど、お似合いだって抜擢されたんだって」   「うわ?可愛い」   「麻友って可愛かったもんね」   そういって梓は焼酎をグビと煽った。その隣の司は、この画像を自分のスマホに勝手に送信していた。   「ところでさ。麻友って、高校時代、誰かと付き合っていたの」   「私は知らない。萌子は?」   「相談された事あるよ。相手はいたんだけど、なんか誰にも言うな!って言われてたみたい」   「なにそれ?おじさんなの?」   「ブッ!……」   「司、大丈夫か?」   彼は優介にもらったおしぼりで拭いていた。   「実はね。私と優介はね。卒業式の前に麻友にワンダーランドのホテルの宿泊券をもらったの」   萌子の話では麻友は彼と一緒に行こうとしたが、予定が合わずに不要になったので代わりにくれたと話した。     「福引で当てたって言っていたし。あの時の花火綺麗だったな……」   「ああ。それにな。麻友ってあの時彼と行けなかった話を会社の面接の時にしたら採用になったって言ってたよな」   萌子と優介の話を聞きながら、梓は微笑む麻友の画像をほろ酔いで見て呟いた。   「誰だったんだろうね。彼氏って」 「……」
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