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わすれもの
寒い寒い駅のホームで次の電車を待つ。
隣で同じように並んでいる女子高生が、白い息を吐きながらおもむろにマフラーを外して鞄にしまう様子をギョッとした気持ちで盗み見る。
さすが女子高生。寒さに強い。
「おはよ・・・って寒そう」
向こうの方から男子高校生がやってきた。
朝の挨拶もそこそこに、震えている彼女に声をかける。
「朝急いで家を出たからマフラー忘れちゃった」
「は? 馬鹿だな」
「うるさいなあ」
「ほいよ」
彼が自分のしていたマフラーを彼女の首に巻き付ける。
「これで寒くない?」
「ん、ありがとう」
男子高校生が彼女の頭をポンポンとしながら、また「馬鹿だな」と優しい顔をして笑う。
何この、テクニック・・・!!!
寒さのせいだけじゃない。
朝から震えが止まらない。
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