プロローグ

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 「…まだ落とせない…よね…」  私もまた然りだった。  ここに来たのは水浴びでも、雪遊びでも、用を足す為でもない…他の子供達と同じ理由だ。  数分前、私も用を足したが、やはり川に放出したり、雪を溶かすような勿体ない真似はしていない。  出したこれが、私達を護るために必要だからだ。  私はまず、そこら中に落ちていたゴミの中から紙コップ等の容器を拾い、ここの浄化されていない天然の雪解け水をがぶ飲みした。  中には雪をがっこんたり、運良く生魚や冬眠中のカエルを捕まえ、肉を食い千切った子供もいるが、私はこっちの方が断然楽だった。  多くの細菌や病原体が腸内を攻撃してくれ、おまけに今は寒い季節、水が冷たいのもあって自然と腹が冷えるので、直に腹も痛くなり、猛烈な腹痛と尿意、便意が襲う。  尿意が迫ると、直ぐさま紙コップを用意して、その中に尿を全て入れる。  そして、それが温かいうちに手ですくい…、  ー…ビチャッ。  満遍なく、体中に塗りたくる。  濡れた体からは、ツンとした臭いが漂い、小動物一匹すら寄りつかなくなる…。  …そう、私は今、己の尿道から出したばかりの生暖かい黄金色の液体を塗布しているのだ。  臭いはとても強烈だが、そのお陰で私達は身を護られる。殆ど服を着られなくなった私達にとっては、非常に最善の策なのだ…。
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