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「真帆、手」
レントくんが左手を私に差し出す。手が冷たいから温めてほしいのかな?と思って私は素直に手を差しだした。
「今日ホワイトデーだから」
レントくんが空いている方の手でデニムのポケットを探る。
またのど飴が出てくるんだと去年を思い出して、ふっと笑みがこぼれた。
今日はこれでバイバイでも、レントくんののど飴があれば少しは寂しさを紛らわせるかも。
そんな思いで楽しみにしていたのに、出てきたのはのど飴じゃなかった。
コロンと手に乗せられたのは。
「……指輪?」
シルバーのちょっといびつな形のそれは、街灯に照らされてキラキラと光っていた。
「もしかして……手作り?」
「あ、バレた? 指に入るか自信ない」
レントくんはそう言うといたずらっこみたいに笑った。少し照れたように。
それを見るだけで、胸が高鳴る。
「レントくん、指輪なんて作れるの?」
「まー自己流だから。バレンタインに手作りもらったんだから、ホワイトデーも手作りしろってナギセンセーが」
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