154人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「あなたがレントの彼女さん?」
そう聞かれたとき素直に答えることができなかった。
夜空みたいに輝くネイル。ゆるりと巻かれた長い髪は明るい茶色で、私は思わず染めていない自分の黒髪の毛先をじっと見下ろしてしまった。
レントくんが行っていた工業高校はほとんどが男子生徒で、レントくんの周りにはいつもいっぱい人がいたけれど、それは男の子ばかりだった。
けれど今、音楽関係の専門学校に進んだレントくんの周りにはたくさんの女の子がいる。
私と違って明るい髪色で、私と違ってきちんとメイクをした大人っぽい女の人達が。
べつにレントくんがそういう女の子達と特別に仲良くしてるって事実はない。
彼女達がレントくんのことを好きって決まったわけでもない。
ただ勝手に私がヤキモチを妬いて、勝手に自信を失くしているだけ。
付き合って一年経っても、私はレントくんのことを呼び捨てで呼ぶなんてできない。
最初のコメントを投稿しよう!